商品コード:1350-055t[DECCA] E.クライバー/ ベートーヴェン:交響曲9番「合唱」
商品コード: 1350-055t
商品詳細:エーリヒ・クライバーの第九はLP初期における一つの衝撃であった。'50年代の初頭にあって、フルトヴェングラーとは異なるスタイルで、且つ、新しい波を感じさせる演奏。切れ味の鋭いオーケストラには驚かされる。「フィガロの結婚」で見せた、あの熱い演奏にも通じるものがある。余分な肉付けを排しながら、骨太で揺るぎ無い骨格を持つ演奏。その新鮮さは今もなお健在だ。ギューデンをはじめ歌手も良い。モノラルの醍醐味が味わえる。1952年6月にウィーンにて録音された名演。フルトヴェングラー、バイロイト録音が前年の1951年7月29日であることを考えると、正反対とも言える2つの全く異なる第9が同じ時期に録音されたことは面白い事実である。どちらも大変な情熱が注ぎ込まれた演奏であるが、クライバーは案外速いテンポでかっちりとまとめた現代的な演奏といえる。恐らくは譜面の通りで過度なテンポの揺らぎはなく、意図的な感情の関与が見られない極めてシンプル且つストレートな演奏である。しかし音楽が生き生きと生命感を放出し、明らかに静かな情熱の渦に飲み込まれる演奏である。この時代にあって異例な程の筋肉質で引き締まった演奏にはエンジンが付いた推進力さえ感じてしまう凄みがある。フルトヴェングラー/バイロイトが魔術的凄みとすれば、クライバーは時代を超越した造形美ではないだろうか?エーリヒ・クライバー(1890 - 1956)はウィーン生まれ。フルトヴェングラーの4歳後輩になる。クライバーはこの録音の6年後に66歳で亡くなってしまう。1935年、妻と当時5歳のカール(カルロス)らを伴ってアルゼンチンに移住した。1947年ごろからヨーロッパでの指揮活動を再開したが、復帰はスムースではなかったと思われる。フルトヴェングラー /バイロイト録音をお持ちの方に特に聴いてほしい第9である。同じ時期にここまで異なる演奏があることを知っていただきたい。どちらも歴史に残る名演である。1957年頃シューリヒトの1番とカップリングされて新番号で出し直される。
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