商品コード:1370-053[DECCA] J.スーク(vn)/ ブラームス:Vnソナタ1番, 2番,3番
商品コード: 1370-053
商品詳細:ヨゼフ・スーク(1929- 2011)は チェコ生まれのボヘミア・ヴァイオリン楽派の継承者であり、チェコの作曲家ドヴォルザークの曾孫として、チェコのクラシック音楽の屋台骨を支えてきたヴァイオリン奏者である。1950年代初期から録音を開始、引退近くまでSUPRAPHONに夥しい数の録音を残してきた。その傍ら、1967年頃からDECCA、1968年頃からEMIにも籍を置いて国際的に活動・録音を行うようになる。これはスークが行った初の西側レーベルへの録音であり、最初のDECCA録音となったLPである。録音は1967年ロンドンで行われた。DECCAとしてもローカル音楽家としては名声の大きいヨゼフ・スークの録音を渇望していたに違いない。というのもスークの室内楽の相手はSUPRAPHONの音楽家に限られていたからである。DECCAに移ったことでヨゼフ・スークとジュリアス・カッチェンのデュオ、またはヨゼフ・スーク/ジュリアス・カッチェン/ジャーノシュ・シュタルケルのトリオという、これまであり得なかった共演が可能になった。シュタルケルも同じ頃DECCAと契約を交わし、主体ではないにしてもDECCAに録音が可能になったからである。今回はスーク/カッチェンのデュオとなる。カッチェンは元々米国生まれだが当初からDECCAのピニストであり、1949年からDECCAに録音を残している。ソロと協奏曲が主体で室内楽の録音はほとんどなかった(R.リッチと僅かな録音あり)。カッチェンにとっても大方の協奏曲録音が終了し、体力的にも負担の小さい室内楽へと移行すべき時期に来ていた。スーク/カッチェンというのは、これまであり得ない組み合わせであったが、実演ではプラハ音楽祭でスークとカッチェンは度々演奏があり、1968年にカッチェンがスークの伴奏者として、ブラームス「ヴァイオリンソナタ」全曲、ノイマン指揮プラハ響の伴奏でベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」を演奏している。こうしてスーク/カッチェン、スーク/カッチェン/シュタルケルという共演が聴けることになった。DECCAはこの3人でブラームスの小規模室内楽全集の録音を計画したが果たされることはなかった。既に肺癌に侵されていて、この録音から僅か2年後には1969年春、わずか42歳で帰らぬ人となった。3人の共演は短期間で終わってしまったが、失った痛みは想像以上に大きく、スーク、シュタルケル、DECCAのジョン・カルショウは大きな悲しみに包まれた。カッチェンとカルショウとは家族ぐるみの付き合いがある友人同士だった。演奏は全体に落ち着いた色調と雰囲気で展開する。スークも壮年期であり、この地味だが滋味を満たした演奏には何か切ないものを感じる。単に珍しいスークのDECCA録音という以上の物語を持つ1枚である。音楽性も第一級のオーディオ・ファイル!
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