商品コード:1373-064[DGG] E.ギレリス(pf) / グリーグ:抒情小曲集(全10巻/66曲)~抜粋20曲
商品コード: 1373-064
商品詳細:DGGに入れたベートーヴェンのソナタ全集で彼が見せた解釈を思えば、この演奏も容易に想像できる。ギレリスには嘘や「はったり」が全く無い。一聴して物足りなさを感じるが、この曲を情緒連綿たる演奏で弾かれては、繰り返し聴くことにはならないだろう。全曲に数曲足りないベートーヴェンこそ入れておいて欲しかったと思うが、なぜこの時期(1974年)にグリーグを録音したのだろうか、全66曲の中からどのようにして20曲を選んだのか、そんなことに思いを馳せて聴くのも一興である。強烈な打鍵で「鋼鉄のタッチ」と言われるギレリスだが、ここではしっとりと優しく、抒情的である。繊細且つ美しい演奏で選集ではトップランクの1枚といって過言ではない名演!DGGに移籍してからのギレリスはMELODIYAやRCA時代とは大きく芸風を変化させている。グリーグが「抒情小品集」第1巻を書き始めたのが1864年の21歳の時である。それから最後の第10集は20世紀に入った1901年の58歳の時に書かれ完結した。グリーグはその6年後の1907年ノルウェー・ベルゲンで亡くなっている。正に生涯を通じたライフ・ワークであった。全66曲に及んだことで、死期を悟ったグリーグは完成に至ったのだろう。全曲録音もなくはないが、聴く方も大変である。ほとんどの抜粋盤は1枚に有名な曲を並べてあり、1枚でも十分に「抒情小品集」の世界観を堪能できるようになったいる。ギレリス盤も選曲はよく考えられている。頭から流して、しっかり満足できる内容であり、演奏も素晴らしく良い。ギレリスは1970年代からDGGで録音を開始し、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、グリーグ等の作品を録音。晩年にはパワーで押すスタイルはなりを潜め、力を抑えた枯淡の境地と言える表現に変わっていった。このグリーグも正にその流れの中での録音であり、ギレリスの晩年の境地を示す録音である。なお有名なベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音は5曲のソナタを残したまま1985年にモスクワで急逝し、完成されずに終わった。
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