商品コード:1375-019[ART&MUSIQUE] E.バルドン(cl) バルドンQt./ モーツァルト:Cl五重奏曲K.581
商品コード: 1375-019
商品詳細:1972年の発売らしいK.581の珍品。両面で1曲入りなので贅沢な溝の使い方になっている。内容も素晴らしいのでモーツァルト好きならば、気になる一枚だろう。仏マイナー・レーベルのArt&Musiqueなるレーベルの入荷自体も初であり、一生に一回お目にかかれるか?という品だ。内容は「珍品イコール名演ならず」の法則をくつがえし、相当に素晴らしい演奏。K.581の勢力地図を変更する必要が出てくるだろう。そして俄かには信じられない話だが、演奏者は全員が兄弟である。調査したところ、西フランスのアンジェにバルドン一族という音楽一家が存在するらしい。長男のピエールはパリ音楽院のフルートと室内楽部門を首席で卒業。その後はオルガンに傾倒し、南仏プロヴァンスにある聖マリー・マドレーヌ教会の正オルガニストを逝去するまでの約60年勤め上げながらプロヴァンス音楽院の教授として両方の楽器の指導を行った。次男のヴァイオリンのクロードはパリ音楽院のヴァイオリン科の首席で、ミュンシュが認めたパリ管の初代コンマス。アメリカで客死したミュンシュの棺を最後まで看取ったことで遺志を引き継ぐべき運命を感じ、デルヴォー、バレンボイムの指導の元に指揮者となった。三男でクラリネットのエティエンヌもパリ音楽院出身で、当然ながらクラリネットと室内楽の首席。ストラスブールpo.の首席クラリネット奏者であり、ストラスブール木管八重奏団の主要メンバーの一人。四男のマルセル(vc)はナヴァラの愛弟子で、これまたパリ音楽院を首席で卒業。マルティヌー:小協奏曲のイタリア初演をナヴァラの依頼で引き受け、後にはナヴァラの推挙でパリ音楽院チェロ科の教授に就任し約50年勤め上げた。この様に、軽く列挙するだけでフランスの音楽界を牽引した恐るべき一族だと分かるだろう。当たり前だが全員が一族という五重奏団はこれまで見たことがないし、結束力という点ではこれに勝る団体はあるまい。更には音楽家同士で結婚した兄弟もいるため、一族から輩出した、あるいは一族に連なる職業音楽家は三十人を超えるらしく、究極はバルドン一家名義でヴィヴァルディの四季(最低でも弦楽器奏者だけで12人!)のLPも出している。冗談めいていて出来の悪い小説か漫画の様だが、長兄の訃報の際に新聞に取り上げられている、歴とした事実である。内容に忖度をする気は毛頭ないにせよ、今後はバルドンの姓に注視していかざるを得ないだろう。当盤は直系の兄弟でのアンサンブルのため当然ながらチームワークやコンビネーションに疑念の余地はなく、個々の一流音楽としての才覚と、一族としての血脈や魂の繋がりが両立した素晴らしい演奏となっている。その存在感は強力で、小さな交響曲を聴いているような錯覚を覚える。デリカシーが溢れ、モーツァルト的な生命観の表現も抜群である。名演の多いK.581という曲だが、その中でも一際光るものがある1枚。レア度においてもトップレベルである。思わず顔がほころぶ超掘り出し物。五重奏団としての録音は当盤以外に1983年リリースのブラームスが存在するらしい。
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