商品コード:1383-027t[SUPRAPHON] K.アンチェル/ リスト:交響詩「前奏曲」S.97, :序曲「ローマの謝肉祭」Op.9 他
商品コード: 1383-027t
商品詳細:アンチェル/チェコpo.というステレオ期の代表者。東西4曲の管弦楽を収録。1908年ボヘミア生まれ、ターリヒに指揮を学び、1933年プラハso.の音楽監督に就任するも、ナチスの支配下で家族全員がアウシュヴィッツに送られ彼1人が生き残った。1950年クーベリックからチェコpo.を受け継ぎ、亡命する1968年までの間に同オケを蘇らせ、ターリヒ時代の「栄光」を取り戻した。当録音は両者の関係が大きな絆で結ばれている時代に当たり、平和でほのぼのとした安定感が感じられる。何の変哲もない管弦楽曲集の4曲入りだが、アンチェル好きには重要なLPの一つ。アンチェルの特徴の一つに、チェコフィルというオケが持つ本来の温かみを消すことなく純度の高い正確な演奏を維持した点が挙げられる。1960年代初期において、オケの精度はどこでも大きく上がっていった。しかしその過程で本来の弦楽の持つ甘味や温かさを犠牲にしても精度を高めたオケも少なくない。例を上げればアンセルメとスイス・ロマンド、G.セルとクリーヴランドo.等がある。この2つはその代わり他が持ち得ない希少な武器を手にした。しかし、ベルリンpo.のような大手オケでさえ、精度と引き換えに急に面白味を失ったオケは多いのである。チェコフィルは、この精度の高さと「表現の純度」を高いレベルで同時に維持した稀なオケである。勿論そのバランスを可能にしたのがカレル・アンチェルであったことは疑いようがない。音楽の本質を失わないままに高い純度を実現した稀有な指揮者であった。しかし1968年、アンチェルがアメリカ演奏旅行中にいわゆる「チェコ事件」が起こり、チェコはソ連を中心としたワルシャワ条約機構軍の軍事介入を受ける。アンチェルは旅行先で帰国を断念、亡命の道を選び、同時にチェコ・フィルの常任指揮者も辞任する。東ドイツでも「チェコ事件」を発端にチェコ人指揮者が抗議の辞任をした。翌年からヴァーツラフ・ノイマンが1989年まで首席指揮者を務めたが、同じ音を出すことはなかった。これはアンチェルが亡命する4年前の録音である。この時期のチェコ・フィルは今から考えると、信じ難いような温かく厚みのある音を出していた事が解かるのである。「チェコ事件」は政治だけでなく、音楽の抹殺も同時に行った蛮行であった。SUPRAPHONの音楽的価値を大きく欠損した事件であった。
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